「安いですよ!お得ですよ!」だけでは売れない時代。

「安いですよ!お得ですよ!」だけでは売れない時代。

ぬこファクトリーです。
先日いつもWEBのことでご相談頂いている取引先様から、

「導入を健闘しているWEBサービスに関するZOOM会議に同席して欲しい」

とのご依頼を受けて出席しました。
詳しい話は省きますが、「売れない商品・サービスとは何か」ということに関して大きなヒントとなりましたのでこのブログでシェアしたいと思います。

目次

「安いよ!儲かるよ!」だけでは売れません。

さて、ZOOM会議が始まって、向こうの社長さんが簡単な自己紹介を始めたんですが、なんか上から目線なのが嫌な感じ。
そしていよいよサービスの説明が始まるのかな〜?と思いきや、「ビデオで商品の説明をしますからそのあとで質疑応答の時間にしましょう」とのこと。

う〜ん・・・せっかくお客さんを前にして自社のサービスを説明できるチャンスなのに、そこは手抜きなんですね・・。とここも嫌な感じ。
(コミュニケーションを軽視してるんだなこの会社は)と思わざるを得ません。

案の定退屈極まりないビデオがずーっと流れるのをひたすら耐えながら20分ほどの時間を過ごすわけですが、またこの内容が全然我々の知りたい内容ではなく、とにかく「金・金・金!」とお金の話ばかり。

実はここのサービスには販売代理店制度があって、インセンティブも用意されています。
そこはそれで確かに嬉しいサービスではあるのですが、ビデオの内容の殆どが、

「このサービス売ったら儲かるよ〜!」

という説明ばかりで、「こんなことが出来ます」とか、「こんな発展性のあるサービスです」なんて説明がほぼなくて、「安いですよ!お得ですよ!」のオンパレード。(知らんがな・・)
もう何度お客さんに「もうやめましょう」と言いそうになったかしれません(苦笑)

ミーティングが終わってからお客さんも「売れてないから社長も焦ってんだろうね・・」と仰る始末。社長、やることなすこと全部裏目でしたよ!!

(※余談ですが、ここの社長、本当にWEB業界のことがわかってないし、勘違いも甚だしい。いずれ競合が同じようなサービスを出したらふっとばされるだろうなというのが私の印象。)

でもここまで読んでくださった方の中には「安い、お得、結構じゃないか。何がそんなに気に入らないのか??」と思った方もいらっしゃるかもしれません。いかんのです、これからの時代そんなのじゃいかんのです。

いや、そもそも売れる商品やサービスって「安いですよ、お得ですよ」じゃないんです。

自分にとって嬉しい内容だから相手が喜ぶわけではない。

数年前、ぬこファクトリーが経営的にきつかった頃は「少しでもお金のかからないもの」を求めていました。資金繰りも厳しく、「売上を上げて儲かりたい!」ということばかり考えていました。(その割には「艦これ」にハマったり、YouTubeでブラックラグーンを観たりしてましたが(TV版に加えてSOCOMの特殊部隊とロベルタが死闘を繰り広げるゴールデントライアングル編まで。)

そうした中から生まれた企画として「シンプル・スタートパック」という選べる3パターンのテンプレートと低価格の基本料金で企業サイトが持てるというホームページの制作パックの販売を開始しました。

当初反響があって、先の取引先様からも「一緒に販売をしていきましょう」と業務提携の話を頂けたりと順調にいくかと思われました。

しかし・・売れなかったのです。。。

惨敗というわけではありませんでした。ちょこちょことは売れましたし、全く無駄というわけではなかったのです。
しかし売れない。

なぜか?理由は簡単、「お客さんが望むサービスではなかったから」
これに尽きます。

当時のぬこファクトリーは本当に苦しい状況でした。今だから告白しますが銀行からお金を借りられず、キャッシングで日々のランニングコストをしのいでいました。「貧すれば鈍す」という言葉がありますがまさにそのとおりで、お金に苦労していると、

「お客さんも安いほうが助かるはずだ!」と考えるのと同時に、
「高い値段で請求するのは申し訳ない。。」と思ってしまい、安かろう悪かろうのサービスを提供し、結果お客さんとの関係が長続きしないという悪循環に陥ってしまったのです。

余談ですが、利用しようと考えているサービスや企業が「安いですよ!お得ですよ!」しか言わなかったら、「ああ、ここは売れてなくて、劣悪なサービスしか提供出来ないところなんだな」と思って間違いありません。

自分がお金に困っているからお客さんもそうだろう、と自分の目線でしかお客さんの思考を判断しないのでは正しくお客さんのことを理解しているとは言えませんね。だから「安いですよ!お得ですよ!」では売れないのはそうした理由でもあるのです。

ですが、それだけではありません。
これからの時代に「安いですよ!お得ですよ!」だけではそぐわないからです。
いや、売れるでしょうけどこれから先は苦労するだろうなと思うわけです。

これからのキーワードは「キレイ・気持ちいい・かっこいい」

ここからは理屈じゃなくてほぼ感性の話になってくるから、人によっては嫌悪感を覚える内容になるかもしれません。
しかしぬこファクトリーは今後も「なんとなく気持ちいいからこっち」というノリで、お客様にサービスを提供していく方針なのでそのことについての説明も含めるということでご理解ください。

いや、もう単純な話で、iPhoneって、「安いですよ、お得ですよ、便利ですよ」ってPRしたから売れたんですか?ってことなんですね。

確かにスマホって便利だけど、デビュー当時は使えるサービスもアプリも少なかったし、(というよりほぼ皆無でしたね)、電話のくせにすぐに電池はなくなるし、スペックとしては最悪だったように記憶してます。(ちなみに私のiPhoneデビューは3GSから)

でも洒落たCMとあのデザイン、触った時の質感や画面をフリックした時の滑らかな動きに魅了されてまたたく間に市場に受け入れられました。(市場を席巻するのはもう少しあとの4Sから)

おそらくiPhoneを手にした人の中で「安くてお得だから」という理由で購入した人はほぼ皆無だったことでしょう。いずれもiPhoneのプロダクトとしての美しさ、Appleというブランドイメージへの憧れから購入に至ったというのがほとんどだったことでしょう。

マニュアルもないし使い方も最初はよく分からない、しかし、持っているだけで満足できる、使い方がよく分からないままでいたくないから自分たちで使い方を勉強し、教え合うという文化も生まれました。自分もiPhoneをかっこよく使いこなす一人になりたかったからです。そのために多少の値段の高さや不便さは大した問題ではないのです。

確かに薄利多売の小売ならそれでもいいでしょう。すぐに頭に思い浮かぶのは100円均一ショップですね。でもそうしたお店もCIを行いロゴマークを刷新し、商品やパッケージもずいぶんオシャレになりました。一昔前の「安かろう悪かろう」からは大きく離れつつあり、安物だから仕方なく購入するという、消費行動から、安くても満足して買い物が出来た、という前向きな買い物が実現でき、さらにブランドイメージを高めています。

消費者をバカにしてはいけません。消費者の感性も日々高くなっているのです、「安ければ売れるだろう」と安易なビジネスではそのうち飽きられるか、そうした商品しか購入出来ない質の悪い顧客ばかり相手にせざるを得なくなり(クレーマー対応)、ビジネスそのものが疲弊し立ち行かなくなってしまいます。

高級路線を進むのではなく、質の高い、満足度の高いサービスを提供すること、

つまり、「持っていて、使っていて気持ちいいこと」

これがこれからのビジネスのキーワードになっていくと思います。そう考えると前述のサービスはまさに時代の真逆を突き進んでいると言えるでしょう。
(安っぽい、気持ちよくない、ダサい)

これからはスペックや価格だけではなく、もっと感性で勝負する時代が来る、そんな気がしてなりません。

まとめ:来年も激動の年になりそうですけど楽しんでいきましょう。

というわけで今回もあまりWEBやSEOとは関係ない話題となってしまいました。。
でもさっきも書いた通り、「これからは感性で勝負する時代」がやってくると思うので、「ああ、ぬこファクトリーの門屋ってこんなこと考えてるやつなんだ」ということが伝わればこのブログの目的も達成できるのではないかと思います。

それにしても今年は大変な年でしたね、文字通りあっという間でした。そしておそらく来年からあと数年はこんな感じでいろんなことが起こりそうな気がします。まさに「破壊と再生」があちこちですごい規模で起こって目が回るような時代が続くと思います。でもそんな大変な変化が起こっても「はわわ〜・・・」とビビるのではなく、楽しんでいきましょう。

こんなことがないと人も社会も変わることなんて出来ませんからね、そんなドラスティックな時代の只中を生きているんだと実感するだけで楽しい気分になりませんか?

これからもぬこファクトリーは変化し続けます、どうかこれからもぬこファクトリーをよろしくお願いします。
(今年のブログはこれで最後かも?あるいは気が向いたらまた更新するかもしれませんがそれも気分次第で)

それではまた。